2016年7月1日(金)、青砥のシンフォニーホールで行われたサマーコンサートを聞いた。前半はクラシック、後半はジャズというなかなかない構成だ。まずピティナコンペティションで金賞を受賞した鳥居大輔さんの達者な演奏でショパンの「革命」「幻想即興曲」などを楽しんだ。続いて遣田由美子さんがクラリネットを演奏した。クラリネットが演奏するフォーレのシチリアーノやカヴァレリア・ルスティカーナの間奏曲を初めて聞いた。この楽器の音色で聞くと、甘美なメロディーからその輪郭がくっきりと浮かびあがってくる。楽器が異なれば、表現の可能性も広がるものだ。
第2部は、森健(p)、木村伸広(b)、平沢清二(dr)のトリオ演奏だった。まず「Everything Happens To Me」。そして次に「シャレード」を演奏する前、森さんは稲森康利先生の思い出を話された。若き日、レッスンを受けるために緊張しながら教室への階段を上っていくと、先生が演奏する美しいピアノが聞こえてきた。ドアの前にずっとたたずんで聞きほれていたという。その曲がシャレードだった。私が先生の教室に通い始めたのも同じころだ。森さんの演奏を聴きながら涙ぐんでしまった。1980年代後半のことだから、もう遥か昔というほかない。続いて「There Is No Greater Love」。クラリネットの遣田さんも参加して「ロシュフォールの恋人たち」。演奏曲目も稲森先生好みだ。続いてボーカルの渡辺美貴さんが加わり「星に願いを」「ムーンリバー」「ラヴィアンローズ」などを歌い、美しい歌声と華やかな舞台を楽しませてもらった。
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